2012年6月29日

すい臓がんの抗がん剤新薬

すい臓がん治療の抗がん剤新薬「ナノプラチン」の治験が順調に進められている。

すい臓がん新薬「ナノプラチン」は、定評のある抗がん剤「シスプラチン」をミセル化することで効果を高めた新しい抗がん剤だ。多様ながんの標準治療薬と評価が高い「シスプラチン」は、すい臓がん肺がん卵巣がん子宮頸がん、膀胱がん等の治療に効果が高い。この「シスプラチン」をミセル化=「分子を集合させた塊状に特殊加工」することで、抗がん剤が体外に長く留り継続的に効果が発揮されるようになった。

すい臓がん新薬「ナノプラチン」の臨床試験は、すい臓がん標準治療薬の「ゲムシタビン」との併用療法で実施されており、現在は、アジア地域で第2相臨床試験へ進んでいる。

すい臓がん新薬は患者待望であるため、新薬「ナノプラチン」の開発成功が待望されている。

2012年6月28日

レーザーで活性酸素を発生させる がん治療法

患部に白血球を集めがん細胞を撃退

光線力学療法は、がん治療などに使われている治療法。PDTとも呼ばれ、光線力学的療法ともいわれる。 がん患者に対して、がん細胞に集まる性質のある薬品を投与し、弱いレーザー光を照射することで投与した光感受性物質から活性酸素を発生させ、この活性酸素によってがん細胞を駆逐させる治療法。

低出力のレーザーを使うため、正常組織へのダメージを最小限に抑えることが出来る。早期の食道がん胃がん・子宮頸がん・加齢黄斑変性に保険適用されている。内視鏡で病巣が確認できることが治療の条件。

近年は発生する活性酸素が感染症への治療効果も持つことが発見されて、適用範囲が増えつつある。

2012年6月27日

全方向から患者にX線を当てる高精度がん治療

初期のがんを3ミリ径のピンポイントで狙う、最先端のがん治療技術が開発された。

北海道大学が中心となって開発を進めてきた最先端の高精度X線がん治療機は、照射されるX線が3mmと従来の半分になっている。これによって、従来の直径6mm程度のX線ビームではがん細胞の周囲にある正常な組織を傷つけたが、新型機であればピンポイントでX線を狙い撃つことが容易になった。

さらに、照射機に装着されたアームで、上下左右前後の周囲の全ての方向から患者にX線を当てることが可能であるため、患者はあおむけの状態のままに体を動かさず治療を受けられ、負担が軽い。

従来の放射線治療は、35回も治療をする必要があったが、この新型の高精度X線治療機ならば、1cm程度のがんに対して、がん部位によらず約15分で治療が完了するという。

世界で初めての新型放射線治療機器は、海外の医療機関で臨床実験が進められる予定で、数年後には入院せずに切らないがん治療ができるだろう。

2012年6月26日

肝臓がん、すい臓がん、胃がんの最新治療法のメリットと問題点

前立腺がんでは保険適用になったロボット手術は、他のがん手術に対しても合併症リスクが低下できることが分かってきた。そのため、胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、すい臓がんに対しても、ロボット手術で施術される症例が増えている。

例えば胃がん手術の場合、胃がん患部周囲のリンパ節を切除する際に電気メスの熱が原因で、膵臓が損傷を受け、て炎症を起こしたり、膵液漏になることがある。しかし、ロボット手術で膵液漏が発生するリスクは激減できる。執刀医が3次元画像で奥行きを把握しながら切除できるため、周囲の臓器の損傷を最小化できるのだ。

従来の手術法では一定の率で発生した合併症を、ロボット手術ではかなり減らせることが患者のメリットなのだ。問題は、自由診療の扱いとなるため、入院,検査の費用も全額が患者負担となり、総額で300万円以上の治療費が必要となってしまう。

今後は、前立腺がんだけでなく、胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、すい臓がんへの保険適用が待たれる。

2012年6月25日

治療パッチを3時間貼る新がん治療法

皮膚がん治療に、パッチを貼るだけの新しいがん治療法が開発された。全インド医科学研究所が発表した。

新治療法は基底細胞がんに適用される。基底細胞がんは、皮膚がんの中でも死の危険性は低いものの、患者数が最も多い皮膚がん。治療方法は放射性リン(32P)を使用したパッチを貼るだけで、手術や放射線照射などと比べて非常に安価で入院の必要もない。貼るだけなので、傷も残らない。

臨床実験では、顔に基底細胞がんのできた被験者10名を対象に実施された。皮膚がん患者の患部に治療パッチを3時間貼り、同様の処置を4日後と7日後に繰り返した。結果として、3か月後の検査では全員の基底細胞がんが消滅した。しかし、6か月後の再検査では、2名の被験者が再発した。

今のところはまだ実験が小規模なので、実用化までに広範囲な研究が必要とされている。悪質な皮膚がんとされるメラノーマ治療への展開が期待される新治療法だ。

2012年6月22日

肺がん、乳がんの転移を5分の1に抑える新薬

がん細胞の転移に重要な役割を果たす酵素が特定された。

ADAM28という酵素が肺がんや乳がんの細胞で強く働いているおり、がん転移の際に働くため、この酵素の抑制で がん転移が抑制できるという。マウスの実験でこの酵素ADAM28の働きを阻害したところ、がん転移を劇的に減らせたのだ。

がん細胞は通常、血管に入るとほとんどが死滅するが、一部のがん細胞が生き残って他の臓器に辿り付くことでがんが遠隔転移してしまのだ。しかし、遺伝子操作で酵素ADAM28が働かないようにした肺がん細胞をマウスに注射すると、通常の肺がん細胞を投与した場合に比べ、肺への転移が6分の1に抑えられた。また、酵素ADAM28が働かないようにした乳がん細胞を乳房に注射した場合、脳や腎臓、肺、肝臓などへの転移も5分の1程度に抑制できた。

近い将来に、ADAM28の働きをコントロールする抗がん新薬が開発されることで、がんの転移を抑制できるようになる可能性が高まっている。

研究成果は、慶応大医学部のチームが米国立がん研究所雑誌に発表した。

肝臓がんの再発確率は

肝臓がんは非常に再発しやすい、やっかいながん。完璧な治療で完快を得ても、年に15~20%という高い確率でがんが再発する。5年間での再発率は約80%にもなるのだ。

手術での切除や、熱してがん細胞を死滅させるラジオ波焼灼(しょうしゃく)術でがんを完全に取り去っても、残った肝臓はすでに慢性の肝臓病が進行して肝がんができやすい状態になっている。そのため、肝臓の他の場所にがんが再発し易いのだ。

肝臓がんの治療は、一旦克服した後の再発予防や最も重要なのだ。残念ながら肝がんの再発を直接防ぐ治療はまだ無い。

しかしウイルスを抑えることは肝臓の働きを改善しがんの再発予防に効果的だ。B型肝炎やC型肝炎では一度 肝臓がんができた後でも、ウイルスを抑制することで、長期的な再発予防効果が得られる。

将来的には、肝臓がんの再発を抑える有望な薬が開発中なので、新薬の登場を待ちたい。

それまでは、肝臓がんの治療後は50%のがん再発を前提に、定期的な血液検査とエコー、コンピューター断層撮影装置(CT)などの画像診断が不可欠だ。 がん再発を早期に発見することで、再度の根治的な治療が可能となる。

肝臓がんは、慢性肝炎・肝硬変に対する治療が進歩したことで、発症が回避できるようになった。また早期発見技術が増え、その後のがん治療技術も進展し、さらに肝がん根治後の肝炎・肝硬変の治療と画像診断を繰り返すフォローの徹底によって、治療成績が飛躍的に向上している。

50%のがん再発率にも恐れる必要は無く、治療が可能だと信じて、検診を欠かさないことだ。